その命題に答えるためには、まず建物自体の耐久性をいかに高めていくかが大切な要素です。家は大きくスケルトン(構造躯体)とインフィル(内外装仕上げ・設備)に分けられ、インフィルは数年・数十年単位での変更・補修などにより永続的に存在させることができます。しかしスケルトン部分はそうはいきません。防腐性や防蟻性が弱い木材、構造体がサビてしまうS造、コンクリートの中性化により内部鉄筋がサビてしまうRC造、またパネル工法や集成材のように接着剤の劣化により構造体がダメになるケースがあります。
そのような建物では、100年、200年と長期的に存続させることはかなりむずかしいと思われます。100年、200年、それ以上永続的に家を存続させる工法。それが木曽檜を使用した木造軸組工法なのです。例えば世界最古の檜による木造建築「法隆寺」は1400年近く経った今でも現存し、一般の古い民家にしても、200年以上経った家が珍しくありません。
谷川の家は構造体の耐久性を高めるため、外壁下地に通気層を設け、常時空気が流れる状態を形成しています。軒裏や外壁下部の通気口から入った外気が壁体内の通気層を通り、棟の換気口から外部に放出される仕組みです。
壁体内通気工法図
サイディング壁体通気図
従来の換気口は大きな風穴のようなもので、湿気を解消していましたが、大地震などでそこから壊れる場合も見られました。谷川では、その欠点を無くした土台パッキン工法を採用。基礎と土台の間にパッキンを挟むことで、そこから通風をとる工法です。床下の通風性を均一に保ち、さらに通風量も上げられるので床下の耐久性を大幅に上げることができます。従来の基礎に比べ、基礎部分に開口がないため、強度をアップし地震に強い構造になっています。
土台パッキン
住宅の排水管、給水管、ガス管などは保守点検が必ず必要です。そこで、点検や清掃、修理が容易にできるよう配慮することが重要なポイント。例えばコンクリート内部へ配管を埋込まず、基礎立上がり部にスリーブ管を貫通させることで、管の取り替えが容易になります。また保守点検のために天井点検口、床下点検口を設け、集中ヘッダーシステムにより1カ所で管理できるよう配慮しました。
スリーブ配管(部位により配管の施工は異なります)
集中ヘッダーシステム